近年のIoT(Internet of Things)の進展に伴い、フィジカル空間で集められた膨大なデータがビッグデータとして日々サイバー空間に蓄えられています。我が国が目指すSociety5.0社会では、このビッグデータを活用することで、企業や社会に様々なイノベーションがもたらされると考えています。このイノベーションを生み出すには、蓄えられたビッグデータを機械的に処理・分析し、解釈する必要があります。そこで必要となるのが「データサイエンス」という学問であり、データサイエンスのAI分析技術を駆使できる「データサイエンティスト」です。データサイエンティストは今注目されている職業の一つであり、多くの人材が求められています。皆さんもこの機会にデータサイエンスを学び、未来社会のイノベーターを目指してみませんか。
豊橋技術科学大学は、データ科学のものづくり技術への定着を促進する包括的教育環境の整備を目指し、文部科学省の「大学の数理・データサイエンス教育強化推進検討委員会」による評価を経て「大学における数理・データサイエンス教育の全国展開」事業の協力校に選定されました。この事業では、数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムを先頭に全国を6つのブロックに分け、6大学を拠点校とし、本学を含む全国23大学の協力校および多数の連携校とともに、全国の学生に対して数理・データサイエンス教育を受けられる環境の構築を進めています。本学は「技術を科学する」という建学精神に基づき、データサイエンスを科学からものづくり技術へと展開できる人材の育成を目指しています。
ブロック名 | 拠点校 | 協力校 |
---|---|---|
北海道・東北 | 北海道大学 | 北見工業大学、東北大学、山形大学 |
関東・首都圏 | 東京大学 | 筑波大学、宇都宮大学、群馬大学、千葉大学、お茶の水女子大学、山梨大学 |
中部・東海 | 滋賀大学 | 新潟大学、⻑岡技術科学大学、 富山大学、静岡大学、名古屋大学、豊橋技術科学大学 |
近畿 | 京都大学 大阪大学 滋賀大学 | 神戸大学 |
中国・四国 | 大阪大学 | 島根大学、岡山大学、 広島大学、愛媛大学 |
九州・沖縄 | 九州大学 | 長崎大学、宮崎大学、琉球大学 |
情報系の学生だけでなく、全系の学生・研究者が自身の研究分野にビッグデータを活用できることを目指し、様々な工学分野で応用できるデータサイエンスの電子教材を(株)キカガクと開発しました。この教材はデータサイエンスの基礎編(TK Basicシリーズ)と応用編(TK Advanceシリーズ)から構成され、電子教科書(E-Learning 教材)を用いた独習と、データ処理ツールを用いた実践的演習を組み合わせたものです。これらの教材を本学だけではなく他大学、企業へも展開し、得られた評価をもとにさらに教材を改良・拡張していきます。本学のデータサイエンス教材を民間企業や教育機関で利活用されたい方は、下記メールアドレスへご連絡ください。
IT活用教育センター事務局:cite-office@cite.tut.ac.jp
- | 学習テーマ | 内容 |
---|---|---|
001 | イントロダクション | ・線形代数、ベクトル、行列の演算方法 |
002 | 機械学習の数学1 | ・代表的な統計量、正規分布、正規化、相関係数 |
003 | 機械学習の数学2(線形代数) | ・線形代数、ベクトル、行列の演算方法 |
004 | 機械学習の数学 3(統計) | ・代表的な統計量、正規分布、正規化、相関係数 |
005 | 機械学習の数学4 (単回帰分析) | ・モデルを決める、目的関数を決める、最適なパラメータを求める、予測値を求める |
006 | 機械学習の数学5 (重回帰分析) | ・モデルを決める、目的関数を決める、最適なパラメータを求める |
007 | Pythonの基礎1 (データ構造と制御構造) | ・Google Colaboratory の基本 ・Colab の基本的な使い方 ・Python の特徴 ・Python 基礎(データ構造) ・制御構文 |
008 | Pythonの基礎 2(関数) | ・関数とは ・関数を定義する方法 ・様々な種類の関数を定義 |
009 | Pythonの基礎 3(クラス) | ・クラスとは ・クラスの定義方法 ・変数を持ったクラス ・関数を持ったクラス ・プログラムの管理 |
010 | 数値計算 | ・NumPy の基礎 ・多次元配列を用いた計算方法 ・NumPy を用いた重回帰分析 |
011 | データ処理と可視化 | ・Pandas によるデータ処理の基礎 ・Matplotlib によるデータ可視化の基礎 |
012 | 機械学習の実装 1 (教師あり学習:回帰) | ・重回帰分析の実装 ・線形回帰の過学習を抑制する手法 ・相関関係と多重共線性問題 |
013 | 機械学習の実装 2 (教師あり学習:分類) | ・決定木の実装で分類の全体像を理解 ・代表的な分類のアルゴリズム ・分類の評価方法 ・scikit-learn で評価指標を確認 |
014 | 機械学習の実装 3 (ハイパーパラメータ調整) | ・ハイパーパラメータの概要と交差検証 ・ハイパーパラメータの調整方法 |
015 | 教師なし学習 | ・主成分分析 ・k 平均法 |
- | 学習テーマ | 内容 |
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001 | ニューラルネットワークの数学1(順伝播) | ・ニューラルネットワークの基礎 ・順伝播の計算 |
002 | ニューラルネットワークの数学 2 (逆伝播) | ・勾配降下法 ・ミニバッチ学習 ・パラメータの更新量の算出 |
003 | ニューラルネットワークの実装 1 (分類) | ・TensorFlow の基礎 ・TensorFlow による分類モデルの学習 ・学習済みモデルの保存と推論 |
004 | ニューラルネットワークの実装 2 (回帰) | ・データセットの準備 ・モデルの定義 ・目的関数・最適化手法の選択 ・モデルの学習 ・予測精度の評価 |
005 | 画像処理とディープラーニング | ・画像処理の基礎 ・Convolutional Neural Network (CNN) の概要と構造 |
006 | 画像分類の実装 | ・画像処理の基礎 ・画像のクラス分類の実装 ・CNN モデルの順伝播の流れ |
007 | 系列モデリングとディープラーニング | ・リカレントニューラルネットワーク (RNN) ・Long-Short Term Memory (LSTM) ・Attention |
008 | 時系列解析 | ・時系列データの取り扱い ・株価の上昇・下落の 2 値分類の実装 |
009 | 自然言語処理とディープラーニング | ・MeCab で形態素解析 ・Bag of Words で特徴量変換 ・文書分類の実装 |
010 | 機械翻訳の実装 | ・Seq2Seq の概要 ・Seq2Seq で文章生成 |
本学オリジナルのデータサイエンス教材を使用したデータサイエンス科目には「データサイエンス演習基礎」、「データサイエンス演習応用」、「数理・データサイエンス演習基礎」があります。データサイエンス演習基礎と数理・データサイエンス演習基礎は同じ内容で「TK Basicシリーズ」を教材として使用し、「データサイエンス演習応用」では「TK Advanceシリーズ」を使用します。
授業科目 | 必・選の別 | 単位数 | 開講年次 |
---|---|---|---|
データサイエンス演習基礎 | 選択 | 1 | 3年次・後期 |
データサイエンス演習応用 | 選択 | 1 | 4年次・前期 |
授業科目 | 必・選の別 | 単位数 | 開講年次 |
---|---|---|---|
数理・データサイエンス演習基礎 | 必修 | 1 | 2年次・後期 |
データサイエンス演習基礎 | 選択 | 1 | 3年次・後期 |
データサイエンス演習応用 | 選択 | 1 | 4年次・前期 |
授業科目 | 必・選の別 | 単位数 | 開講年次 |
---|---|---|---|
数理・データサイエンス演習基礎 | 必修 | 1 | 2年次・後期 |
データサイエンス演習基礎 | 選択 | 1 | 3年次・後期 |
データサイエンス演習応用 | 選択 | 1 | 4年次・前期 |
授業科目 | 必・選の別 | 単位数 | 開講年次 |
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データサイエンス演習基礎 | 選択 | 1 | 3年次・後期 |
データサイエンス演習応用 | 選択 | 1 | 4年次・前期 |
授業科目 | 必・選の別 | 単位数 | 開講年次 |
---|---|---|---|
データサイエンス演習基礎 | 選択 | 1 | 3年次・後期 |
データサイエンス演習応用 | 選択 | 1 | 4年次・前期 |
内閣府・文部科学省・経済産業省の3府省が連携し、各大学・高等専門学校における数理・データサイエンス・AI教育の取組を奨励するための文科省認定制度、「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」に本学の、「GIKADAI 数理・データサイエンス・AI教育プログラム」の「リテラシーレベル(プラス)」および、「応用基礎レベル」に認定されました。
「AI戦略2019」(令和元年6月11日統合イノベーション戦略推進会議決定)では、文理を問わず全ての大学・高専生(約50万人卒/年)が正規課程にてリテラシーレベルの数理・データサイエンス・AIを修得することを目標とし、「大学・高専の卒業単位として認められる数理・データサイエンス・AI教育のうち、優れた教育プログラムを政府が認定する制度を構築、普及促進」することを具体目標として掲げています。
本制度は、「AI戦略2019」に基づき、各大学等における1つの授業科目又は複数の授業科目によって構成される数理・データサイエンス・AIに関する教育プログラム(以下「教育プログラム」という。)を認定することにより、各大学等における教育プログラムの構築及び改善を促すとともに、各大学等の取組について産業界をはじめとした社会全体として積極的に評価する環境を醸成することを目指すものです。
また、本制度では、各大学等におけるより質の高い教育プログラムへの挑戦を後押しするため、数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)として認定された教育プログラムのうち、先導的で独自の工夫・特色を有する教育プログラムを、数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)プラスとして選定することとします。
「AI戦略2019」(令和元年6月11日統合イノベーション戦略推進会議決定)では、文理を問わず一定規模の大学・高専生(約25万人卒/年)が正規課程にて自らの専門分野への数理・データサイエンス・AIの応用基礎力を修得することを目標とし、「大学・高専の卒業単位として認められる数理・データサイエンス・AI教育のうち、優れた教育プログラムを政府が認定する制度を構築、普及促進」することを具体目標として掲げています。
本制度は、「AI戦略2019」に基づき、各大学等における1つの授業科目又は複数の授業科目によって構成される数理・データサイエンス・AIに関する教育プログラム(以下「教育プログラム」という。)を認定することにより、各大学等における教育プログラムの構築及び改善を促すとともに、各大学等の取組について産業界をはじめとした社会全体として積極的に評価する環境を醸成することを目指すものです。
また、本制度では、各大学等におけるより質の高い教育プログラムへの挑戦を後押しするため、数理・データサイエンス・AI教育プログラム(応用基礎レベル)として認定された教育プログラムのうち、先導的で独自の工夫・特色を有する教育プログラムを、数理・データサイエンス・AI教育プログラム(応用基礎レベル)プラスとして選定することとします。
本学の卒業及び修了認定・学位授与の方針並びに教育課程編成・実施の方針に関することなど教育に関する企画・立案を審議する「教育戦略本部会議」の下に「数理・データサイエンス教育推進室」を設置してプログラムを開発し、授業担当教員と「IT活用教育センター」が連携しながら自己点検・評価を実施して質の向上を図ります。
全課程の学部1年生
このプログラムを履修するための特別な手続きは必要ありません。通常どおりの受講登録を行ってください
「ICT基礎」2単位、「工学概論」2単位、「理工学実験」1単位、「確率•統計」1.5単位、「プロジェクト研究」2単位、の計5科目(8.5単位)を取得すること
授業科目 | 必・選の別 | 単位数 | 開講年次 |
---|---|---|---|
ICT基礎a | 必修 | 2 | 1年次・前期 |
ICT基礎b | 必修 | 2 | 1年次・前期 |
ICT基礎c | 必修 | 2 | 1年次・前期 |
工学概論a | 必修 | 2 | 1年次・前期 |
工学概論b | 必修 | 2 | 1年次・前期 |
理工学実験 | 必修 | 1 | 1年次・前期 |
確率・統計a | 選択 | 1.5 | 2年次・前期 |
確率・統計b | 選択 | 1.5 | 2年次・前期 |
プロジェクト研究(機械専門Ⅰ ) | 必修 | 2 | 2年次・後期 |
プロジェクト研究(電気・電子情報専門Ⅰ) | 必修 | 2 | 2年次・後期 |
プロジェクト研究(情報・知能専門Ⅰ) | 必修 | 2 | 2年次・後期 |
プロジェクト研究(応用化学・生命専門Ⅰ) | 必修 | 2 | 2年次・後期 |
プロジェクト研究(建築・都市専門Ⅰ ) | 必修 | 2 | 2年次・後期 |
リテラシープログラムを構成する科目
リテラシープログラムを構成する5科目は、「数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアム」が作成した「数理・データサイエンス・AI(リテラシーレベル)モデルカリキュラム」の1-1から4-3の教育内容を含み、これらの授業を受講することでそれらを学修することができます。
リテラシーレベルモデルカリキュラムとの対応表
・専門分野において実践的に利活用できる機械学習・AIの知識とスキルを修得できます。
・数理・データサイエンス・AI技術を使って新たな価値を創出するものづくり研究に取り組むことができます。
・データサイエンティストとして必要なPythonプログラミングの基礎を身につけられます。
全課程の学部3年生
このプログラムを履修するための特別な手続きは必要ありません。通常どおりの受講登録を行ってください
「データサイエンス演習基礎」、「データサイエンス演習応用」の2科目(2単位)を修得すること
授業科目 | 必・選の別 | 単位数 | 開講年次 |
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データサイエンス演習基礎(機械専門Ⅱ) | 選択 | 1 | 3年次・後期 |
データサイエンス演習基礎(電気・電子情報専門Ⅱ ) | 選択 | 1 | 3年次・後期 |
データサイエンス演習基礎(情報・知能専門Ⅱ) | 選択 | 1 | 3年次・後期 |
データサイエンス演習基礎(応用化学・生命専門Ⅱ ) | 選択 | 1 | 3年次・後期 |
データサイエンス演習基礎(建築・都市専門Ⅱ ) | 選択 | 1 | 3年次・後期 |
データサイエンス演習応用(機械専門Ⅱ) | 選択 | 1 | 4年次・前期 |
データサイエンス演習応用(電気・電子情報専門Ⅱ) | 選択 | 1 | 4年次・前期 |
データサイエンス演習応用(情報・知能専門Ⅱ) | 選択 | 1 | 4年次・前期 |
データサイエンス演習応用(応用化学・生命専門Ⅱ ) | 選択 | 1 | 4年次・前期 |
データサイエンス演習応用(建築・都市専門Ⅱ ) | 選択 | 1 | 4年次・前期 |
応用基礎プログラムを構成する科目
応用基礎プログラムを構成する2科目は、「数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアム」が作成した「数理・データサイエンス・AI(応用基礎レベル)モデルカリキュラム」の教育内容(2-3,2-4,3-8は除く)を含み、これらの授業を受講することでそれらを学修することができます。
応用基礎レベルモデルカリキュラムとの対応表
https://cite.tut.ac.jp/program-series/mdash/agreement